九之坪城跡 | 桶狭間合戦戦功第一の簗田正綱の居城
愛知県北名古屋市(旧西春町)の九之坪(くのつぼ)城は、永禄三年(1560)の桶狭間合戦で戦功第一になった簗田正綱の居城です。九之坪城、此壷城とも。
歴史
九之坪は永禄三年(1560)の桶狭間合戦で、今川義元が桶狭間山で休息中という情報を信長に届け、戦功第一の輝いた武将です。
正綱は情報を届けたという事で、忍者と思われがちですが、実際には父と共に信長に仕え、岩倉城攻めの功により、現在の九之坪地区を与えられ城館を築きました。
これが九之坪です。
桶狭間合戦後には恩賞により、沓掛城で3千貫を拝領しています。
そのとき正綱は沓掛城へ、子の政辰は九ノ坪に残りました。
その後政綱は、天正三年(1575)の一向一揆鎮圧に失敗し、蟄居しています。
感想
開発により、住宅地と化した九之坪城跡。『ふれあいの家』という公共施設の前に石碑がありました。
遺構は残っていませんが、お城の伝承は地域に残っており、親しまれたお城だった事が伺えます。
お城の規模は、西にある平田寺・十所神社までということでかなり広く、本丸と伝わる場所には周囲より一段高く、意味ありげな自然石がありました。
私の感想ですが、この九之坪城は堀と土塁に囲まれていた館城だったと思います。
なぜかというと、この周辺は濃尾平野で、辺りはずっと平地が続いています。
お城の防御を考えた時、例えば山城や平山城なら、高低差を利用してお城の防御にできますが、この周辺はそういった高低差も無いので、堀と土塁が守りの要だったのでしょう。
残念ながら、これらの堀、土塁の遺構は残っていませんが、現地にて想像を膨らませてみるのもお城巡りの醍醐味ですね。
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